「ひと」めぐり

あったらいいなを形にする、世話好きな着物リメイク作家

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三上智美

釧路市出身 釧路市在住

1966年生まれ。元喫茶店の一人娘。小さい頃から日曜大工が好きな父親と茶道や華道を心得た母親から多くの影響を受け感性豊かに過ごす。
学生時代は音楽と弓道に打ち込み、社会人時代には自動車メーカー事務や美術館監視員、動物園売店店員などの多様な職歴を持つ。
5年前、作家名「きものDEこもの」として和柄小物の製作活動を本格的に始める。
その後仲間と発足した『手作り作家集団 colorful(カラフル)』では面倒見のいい性格を生かし事務局を担当。

市内のとある住宅街を抜けてたどり着いたお宅にお邪魔した。通されたリビングには、たくさんの生地、糸、はぎれ・・・。
「これどうぞ。飲み方わかる?」にっこりとラムネを出してくれたのは、ハンドメイド作家・三上智美さんだ。

刺激し合える作家仲間

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三上さんの所属する『手作り作家集団・colorful(カラフル)』の活動は、4年目になる。
雑貨、アクセサリー、服、イラスト、アロマ、整体など、多種多様な作品づくりや活動をするメンバーで構成されており、現在15人程度。
拠点とする釧路市はもちろん、全道各地のイベントに参加するcolorfulの発足から現在に至るまでの様々なメンバーの変化についてお話を伺った。

ー colorfulを立ち上げた経緯について聞かせていただけますか?

立ち上げたとか大それたものではなくて、なんとなく釧路の作家さん同士で一緒に集まったのがはじまり。
ハンドメイド作家って言っても、色んなジャンルの人がいるからそれぞれ刺激し合えるし、お互いにプラスアルファの作用があるからね。
私は今、そのcolorfulの事務局を担当しています。

ー なるほど。実際にどんな刺激がありましたか?

私が作る和柄のがま口に、顔を付けてみようかって手芸が得意な人と盛り上がってコラボ作品が生まれたりしたね。
他にも、洋服作っている人がガラスを扱っている人に作品を見せたら、「ここはこうした方がいいんじゃない?」ってボタン作ってもらったりとか。

ー colorful主催のイベントもあるようですが、どのような感じなんですか?

各月で知り合いの喫茶店内をお借りしている小規模なものや、毎年秋に実施している釧路市文化会館での大規模なものを開催しています。
これらはcolorfulメンバーだけでなく、個人で活動している方や、他団体に属している方誰でも出店できます。
colorfulは、「来るもの拒まず去るもの追わず」な団体なので笑、イベントもそんな感じ。
販売経験の無い作家さんたちのステップアップになればいいなと思っているので、イベントでの販売の仕方や、通販の方法とかも教えてます。
で、そうやって育った作家さんが、「ハンドメイド一本で食べていくからお店出す」って言った時も、「行きな行きな」って送り出すという感じです。

※釧路市文化会館:キャバ1524人の大ホールと372人の小ホール、展示ホール、会議室、練習室、和室を備える文化施設。釧路市の中心に位置し、コンサートや展示会など様々な催しが行われる。

ー 男前に送り出す笑。すごくいい学校ですね

そう。colorfulのみんなが、そういうことを嬉しいと思っていると思います。
さっきも言ったけど、「来るもの拒まず去るもの追わず」なので笑

ー colorfulのメンバーさんが変わっていったなって思うことはありますか?

積極的になりました。
ハンドメイドにしても人との関わり合いにしても、ハンドメイドの業界では「ふらのクリエイターズマーケット」っていうのが登竜門みたいなところがあって、審査があるマーケットなんです。
三年前にcolorfulの一員でバブーシュというモロッコの伝統的な履物を作ってる子がそれに出て、そしたらみんなも出てみようって挑戦を始めたんだよね。そういうこともあって、自信がついてきたんだと思う。私自身も、colorfulを通して着物だけにこだわらない作品づくりをするようになったよ。

ふらのクリエイターズマーケット:北海道富良野市で毎年初夏に開催される、体験型のアートクラフトイベント。
2015年度は出展者95名の募集に対し171の応募者が集まるほどの人気で、2014年の来場数は約1万人。

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イベントに出品したがま口(左)、毎年秋開催のメインイベント『colorful』は出展者数40にも及ぶ文化会館展示室を貸し切る大きなイベントに。(右)

はじまりは『チェッカーズ』

ハンドメイド作家という肩書を持って、まだ5年ほどしか経っていないかと思いきや、裁縫に目覚めたのは高校時代からだったという。
しかしどうやら、社会人になってからハンドメイドとは到底結びつきそうにない活動をしていたらしい。

ー ハンドメイドにはまるきっかけとなったのはいつでしたか?

高校時代、学祭の歌合戦でチェッカーズの衣装を作ったのがはじまり。で、見事ベストドレッサー賞いただきました。
その時、母親が普通のミシン買ってくれるって言ったのに、頼み込んでロックミシンにしてもらったんだよね。
まず普通の高校生は必要無い笑。
元々私の母親が洋服とか作る人だったから、お人形さんの服とかも母親に夜なべしてよく作ってもらってたんだ。

ー じゃあ、こういう洋服や小物だったりは、「頑張れば作れるんだ」って思える環境にいたんですね

うん、そうかもね。欲しいものは、自分で作れる。そう思ってたかも。

ー 社会人になってからは?

御輿にはまりました。よく行ってた飲み屋さんで知り合った女性が担いでてかっこいいなあって。
19歳から出産するまで11年ぐらい担いでました。いや、妊娠しても担いでたわ笑

ー 神輿ですか!では…しばらくハンドメイドからは離れるんですか?

いえいえ、御輿用の小物とか作ってました。
神輿の格好に合う小銭入れとか携帯ホルダーとか煙草入れとか、市販で売ってなかったんだよね。
で、身につけてたら仲間に「それいいじゃん」って言われて、「これ、作ったんだよ。いる?」って感じで、色んな人に頼まれては作ってた。

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頒布のクラッチバッグ(左)、和柄布のスケジュール帳(右)

作品が誰かの喜びに変わる瞬間

御輿を担ぐ傍ら、ハンドメイドで身近な人を喜ばせてきた三上さん。
自分の作品たちが生み出していく喜びを強く感じた時のエピソードを聞かせていただいた。

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ー 作家名「きものDEこもの」からもわかるように、着物をリメイクして小物などをつくっていらっしゃいますよね。
そもそも着物との出会いはどこからだったんでしょう?

母親が茶道や華道をしていたり、部活が弓道だったので、着物は元々身近にありました。
当時よくお子さん向けに開いていたお茶会で使う用に、着物に合う大荷物が入るかばんを作り始めたのがきっかけ。
先生方から頂いた着なくなった着物や自宅の着物をほどいて作っていました。

ー それがどんな風に、他の人へ広がっていったんでしょうか?

その着物から作ったかばんを持ってたら、お茶の先生方から「あら、それいいわね」って毎度のことだけど声かけられて笑
皆さんにプレゼントとして作りました。
それからだんだんかばんや小物が認知されてきたので、行きつけのカフェで販売させてもらえるようになりました。

ー 販売してみて、お客さんの反応はどうでしたか?

お母さんが昔着ていた着物でかばんとがま口のセットを依頼された時は、依頼者の家族の分まで用意したので「みんなで持てて良かった」って言ってもらえたり、亡くなったお姉さんの帯をギターのストラップにと依頼された時は「お姉さんと一緒にいるみたい」って喜んでくれたり。

ー 三上さんご自身も思い出の作品があるんですか?

じいちゃんが持ってた七五三の時の着物で作ったかばんですね。
ある時、高級ブランドバッグを持った見知らぬマダムに「あなた、それ手作り?」って突然聞かれてびっくりしながらも「じいちゃんの着物で作ったんです」って答えたら「いいわね、世界で一つしかなくて」ってすごく羨ましがられたことがあって。
私じいちゃんっ子だったから、その時は感動したなあ。

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依頼主が大事にしている布でパソコンケースを製作中(左)、使いやすい大きめサイズがポイントの和柄バッグ(右)

面倒くさいことが好き

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ハンドメイド作家としても、一人の人間としても、誰かに頼られ、誰かを支えてきた三上さんの本質に迫った。

ー これまでお話を聞いていて、三上さんはすごく頼られる人だなと思ったんですね
ただ、それが負担に感じる時もあるんじゃないですか?

それはないです。かと言って、逆に頼られることが嬉しいってことでもない。
きっと面倒くさいことが好きなんだよね笑

ー 頼られたり、面倒くさいことを引き受けるのが自然なんですね笑

そういう家庭で育ったからだろうね。
お父さんがそんな感じの人で、困っている人がいたら家に知らない人でも連れてきちゃうの。
そんなお父さんだったから、私、高校生のときに近所の公園で寝泊まりしそうになってるバイクのお兄ちゃんに声かけたことがあって。
「そこで寝たら凍死しますよ、家に来ますか?」って家に連れてきたから笑

ー 三上さん自身は、自分のことを作家さんのなかでは珍しい方だとは思いますか?

そうだね、自由にやってるから。
自分の調子がのらないときは、一切作らないで寝てます笑
だいぶマイペースですね。まずは、自分が楽しんでモノづくりをしたいからね。

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着物での作品作りだけでなく、着物を「着る」ことを広めたいと着物参加が必須の飲み会も主催(左)、最近はまっているという裂き織り機(右)

三上さんは「ずっと自由に好きなことをしてきた」と言い切る。
彼女の周りには楽しそうだと多くの人が集まり、その人達とどんどんアイデアを膨らませ、楽しさを倍増させていく。
それをひとまずやってみて、予想と違う結果でも気にせずそれをも笑い飛ばす。
人からの頼まれごとも、他人からしたら少し面倒なことも楽しんでしまうのだ。
だが、三上さんはいつも裏方だ。 colorfulを事務局として支え、作家さんたちや友人たちの相談にのる。
「大丈夫、大丈夫。できるよ」が口癖の彼女は、自分が表舞台で目立つことよりも、チャレンジしたい人や困っている人の助けになれることの方が喜びになるようだ。
三上さんの作った小物たちに触れると、不思議と三上さんの人柄まで伝わってくるような気がする。
それは、彼女が手に取る相手を思い、素材を大切にし、自らも楽しみながら作ったものだからこそなのだろう。

三上さんと出会うには?
きものDEこものブログ:http://ameblo.jp/kimonodekomono/
きものDEこものfacebookページ:https://www.facebook.com/kimonodekomono
colorful HP:http://colorful-s.jimdo.com/colorful
facebookページ:https://www.facebook.com/colorful.kushiro

釧路地域の魅力的な手作り作家に出会える『ブイブイマーケット』
三上さんが所属するcolorfulの皆さんには2015年7月18日に開催した、『ブイブイマーケット』に出展いただきました!
三上さんは、これもやりたいあれもやりたいと言うクスろメンバーの相談に企画段階から親身に付き合ってくださり、楽しみながら協力してくださいました。
イベント当日は三上さんの作品である「もんぺスカート」を購入する近所のお年寄りや「和柄カットソー」に一目惚れする学生さんがいたりと、来場者の方々とも自然な交流ができていたようです!おかげさまでイベントは大成功に終わりました。
詳しくは ブイブイマーケットレポートをご覧ください。

このたび「ひとめぐり」に新しくライターが加わりました!
はじめまして、ライターとしてクスろに参加しています、夏でもなかなか日に焼け無いかしこです。
釧路生まれ釧路育ちの学生です。FMくしろさんで学生仲間と土曜の番組を担当しています。
「地元」「地域」をキーワードに、「人と人がつながる」ことを目指すために日々勉強中です。
自分自身が釧路の人を知るために、そしてさまざまな人に釧路の人を知ってもらうためにがんばりますので、よろしくお願いします◎


かしこの編集後記
kashiko今回、インタビューの前に「裂き織り」というものを体験させていただきました。
手先が不器用な私ですが、「簡単だから!」という三上さんの不思議と力強い言葉に押され、裂き織りスタート。
布を紐状に裂いて、木製の裂き織り機にセット。縦に走る糸に布をくぐらせてパタン、ギュッギュっと繰り返し織っていくと、かわいいコースターができました。「ほら、簡単でしょ?」と笑う三上さん。三上さんに言われると、なんでもできちゃう気がします。

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