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笹田悟子

厚岸町出身 釧路市在住

1981年生まれ。
高校卒業後、古着屋、ホームセンター従業員、車の板金修理などの職歴を持つ。
お子さんの為に作った誕生日ケーキをきっかけに、自宅のキッチンをケーキ工房専用で保険所の許可を取得し、オーダーケーキ専門店Dear Angieを開業。趣味はお友達との仮装で、クオリティにはとことんこだわる。

釧路市内に、おもしろいケーキを作る職人がいると聞きつけて、自宅兼工房を訪ねた。
迎え入れてくれた笹田悟子さんは、刈り上げに腰パンと、まるでいかついダンサーチームリーダーと見間違うほど、とってもファンキーな雰囲気。
(悟子さんはご自身のことを「僕」と呼ぶ。)
手始めに、彼女が取り出したのは笹の葉を散らした模様の緑色の台。ケーキの土台にしては、だいぶ和風な気がするが…

深海魚なら、胃袋出しますか?

悟子さんのDear Angieは、オーダーケーキ専門店である。主なオーダーは誕生日ケーキ。
知り合いから口コミで噂が広がり、今では遠方からも予約が集まっている。

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ー なんのケーキをつくるんです?

今日はメンメのケーキ作るよ〜。オーダーしてくれた人の父ちゃんが漁師さんで、一番好きな魚がメンメなんだって。
美味しいよね!僕も好きな魚ランキング上位に入ってるよ!

※メンメとは、釧路ではポピュラーな深海魚

ー 魚のケーキのオーダーって結構あります?

うん!結構あるよ!釧路っていう土地柄かな〜?僕ね、魚作るの超好き!

ー ほぉー!魚もケーキで作れるんですね!

うん!僕、漁師の娘だから、魚にはこだわるんだよね!魚のオーダーはめちゃめちゃ嬉しい!異常に張り切って作っちゃうもんね!
たとえば、今日みたいにメンメのオーダーをいただいたら、「深海魚なら本物は陸揚げしたとき胃袋が口から出ますけど、そのリアリティも出しますか?」とか聞いちゃうんだよね笑!
そしたら、「そのほうが面白いんですか?えっと、・・・任せます(苦笑)」とか言われて笑。
「あら、引かれてしまった笑。よし、普通にしよう!」って思ったり、こそっとやってみようかなと企んでみたり笑。
そんな感じでいつも楽しいケーキ製作をしています!

ー 昔からケーキ作りはしていたんですか?

いやいや、してないよ!そういうセンスないと思ってたもん笑!
娘の誕生日ケーキは初めお店に頼んでたんだけど、自分でこういうのあったらいいなっていうケーキがあんまり無くってさあ(苦笑)。
無いなら自分で作ればいいじゃないの!ってやってみたら出来ちゃって笑。
それがはじまりかな!ははははは!

ー けど、なんで本格的にケーキ屋さんをはじめようと思ったんです?

そこから友達にケーキを頼まれて作るようになって、その中のお店をやってる知り合いが、ケーキを沢山褒めてくれて「お店始めてみたら?」って言ってくれたのがきっかけ!そこで僕のケーキ魂に火がついた!

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悟子さんの作るケーキは、単なるデコレーションケーキの域を超えていてちょっと笑えるユニークなものも多い。ケーキそのものの形が魚や鹿、焼き肉なんていうのもある。

ー ケーキの技術はどうやって学んだんです?

Facebookでケーキデコレーターのグループがあって、そこで情報交換とかアドバイスもらったりしてるよ!
いつも教えてもらってばっかりだけど笑。あとはyoutubeや本も参考にするよ。
色々と失敗することもあったけど、ケーキ作りは奥が深くて楽しいってすごく思う!

ー Dear Angieのこだわりってなんですか?

僕の作るケーキは、お客様のイメージ通りなもので、さらにお腹いっぱい食べれるものにしたいな〜って思うんだ!
その為に、お客様に話を沢山聞いたり、ネットや本で情報収集を目一杯して、その人にぴったりの形を時間をかけて考えるの。
それから、最初から最後まで美味しく食べれるように、甘さとくどさを押さえるようにしてあるんだよ〜。
食材は品質にこだわって出来るだけ国産を選んでるんだよね!

ー もともとなにか物を作ったりするのも好きだったんです?

ちっちゃい頃から絵を描くのが好きだったよ!
昔、古着屋で働いてた頃はイラストを描いてそれを売ってたりもしたんだ!

ー へぇー古着屋さんだったんですね!服は作ったりしないんですか?

うん!娘の服は作ったよ〜!娘が生まれた時、この子は、レトロな雰囲気が似合うんじゃないかなーって思ってさ!
座敷わらしみたいな感じにしたくて、髪型も座敷わらし風にしてたよ笑。
でも、なかなかイメージ通りの服って売ってないのさー。だったらこれまた作ってみようかなって、色んな生地買ってきて作ってたよ!
沢山失敗もしたけど笑。

仮装する二児のママ

仕事を離れると二児の母の顔も持つ悟子さん、幼稚園でもプライベートでも仮装を通してムードメーカーとなっている。

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ー そもそもどうして仮装なんですか笑?

まず一に楽しいから!二に笑えるから!三に我を忘れるから!ははははは笑。
楽しいものって言って、ぱって思い浮かぶのが仮装なんだよね笑。母ちゃんと姉ちゃんも好きだから、これ血筋!しょうがない笑!

ー どんなときに仮装するんですか?

幼稚園のクラスのクリスマス会とか市内のイベントとか自宅のパーティーとか、あと普段でもする笑。

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幼稚園のクリスマス会やハロウィンパーティは仮装を。年々クオリティが上がっていく

家族との時間を大切にすること、自分自身が楽しむこと

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ー 悟子さん、本当に友達多いですよね〜!

もともと人見知りなんだけどね!シャイなの、シャイ笑!
でも性格的に、猫かぶって接する事も出来ないから、ワーワー楽しんでたら、皆も一緒に盛り上がってくれる感じ笑。
たまについてけないって怒られるけど笑。

ー 悟子さんにとって、ケーキってなんですか?

ハッピーになるもの!
泣きながらケーキ食べる人っていないでしょ?
特に1才の子の誕生日ケーキのオーダーが来るとうれしいんだ〜!
自分の子どもの1歳の誕生日が特別な気がしたからさ!本当に、作らせてくれてありがとうって思う。
そういう、ハッピーのお手伝い屋さんになれるといいな〜と思うよ!

ー これからやってみたいのは?

家から近いところに、⼯房を持てればいいなあって思ってるよ!家のキッチンでやるのも、だいぶ⼿狭になってきたしね〜。
もともと、⼦どもといる時間を⼤切にしたくて、自宅で出来る仕事だからってことで、ケーキ屋を始めたの。
だから、これからも家族との時間と、⾃分の技術を磨ける時間をどっちも持てるといいなあ〜って思うよ。
あとケーキでやってみたいのは、ダイオウイカとシーラカンスのオーダをめっちゃ待ってる笑。深海魚って、ほんと大好き!

ー はい笑。最後までさすがです!楽しいお話をありがとうございました!!

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娘さんのために手作りした洋服(左)と大切にしている家族との時間(右)

悟子さんは、ファンキーな第一印象とは裏腹に、元気で明るいかわいらしい性格の方だった。
いつでも、「かわいいものをつくりたい!楽しい企画にしたい!」っていう欲求に正直で、それを⽬いっぱい楽しんで表現するから、いつの間にかみんなも楽しく巻き込まれてしまうよう。それは、なんだか彼女の女性的な魅力がなせるワザのような気がする。
こんなすてきな先輩女子がいる釧路って、ちょっと、やっぱりすごいかも。

笹⽥さんに出会うには?
Dear Angie Facebookページ
https://ja-jp.facebook.com/pages/Dear-Angie/727676530607834

このたび「ひとめぐり」に新しくライターが加わりました!
はじめまして。愛知からやって来ました、しょじくるです。
一部の噂では、北海道とは一番相性が悪いという愛知県。
確かに、釧路に来てから、いろんなカルチャーショックにボティーブロー、という気がしないでもない今日このごろ。「ソトの人」から見える釧路のびっくりやおもしろさを、お届けできたらと思います。


しょじくるの編集後記
shojikuru今回取材の終わりがけに、思いがけず仮装をさせていただきました。
いきなり満点の笑顔でヅラを被せてくるおちゃめな悟子さん。あっという間に顔中しわと線だらけのメイクを施します。もはや、誰だかわからない顔になることで、他⼈になったような気持ちで素直に話ができる。そして、洗顔した後のすっきり感。どぎついメイクを落とすついでに、⽇頃の悩みも流れていく感じです。これ、ほんとにいい。「ストレス発散!仮装ワークショップ」いつか⼀緒にやりましょうね、悟子さん!