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山﨑大裕

阿寒町出身 阿寒町在住

1993年生まれ。山﨑農園代表。
阿寒町の農家で生まれ育ち、帯広の農業高校に進学。その後、深川の短大・本別の農業大学校に進み農業経営を学ぶ。
2015年に帰郷し、両親とともに山﨑農園を営んでいる。
農園に併設する直売所はご近所のみならず、釧路市街からも新鮮野菜を求めてやって来る人が絶えない人気ぶりである。
ものづくりや音楽など幅広い趣味を持っているが、スポーツだけは苦手なのだそう。
特徴はサラッサラのロングヘア。
この記事を書いた人
chiyan

クスろ副代表ちーやん。クスろのWEBやデザインを担当。2017年から阿寒町でゲストハウスコケコッコーを運営。
今年の夏は、阿寒町のご近所である山﨑さんのおいしい野菜を食べ続け、体の半分くらいは野菜になったかも。

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釧路市街から車で約45分。山に囲まれ、いくつもの小さな川が町の中を横切る阿寒町。
海沿いで気温が上がりにくい釧路市街と比べ、阿寒町は野菜が育てやすく、畑を借りて市街から通う人もいる。
そんな阿寒町の中心部を抜け、車で少し走ると、広い畑の入口に季節の野菜を販売する直売所がある。
そこには忍者のような出で立ちをした若い青年がいた。

あ、農家って悪くないかも

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chiyan

こんにちは!今日も忍者スタイルですね!ふー!

yamazaki

忍者スタイルって何ですか…笑
日焼けや怪我防止と汚れが目立たないための柄Tシャツと…ほら普通ですよ笑

chiyan

髪も長いですね〜しかもサラッサラ。

yamazaki

実はこれには狙いがあって…

chiyan

え!!!

yamazaki

直売所って日本全国で見ると、コンビニよりも数が多いんですよ。
だから、何か覚えてもらうきっかけを作らなきゃって。それも強く印象に残るやつを。

chiyan

ま、まさかそれでロングヘアー…

yamazaki

そういうことっすね!

chiyan

髪めっちゃ長い人がいるってことだけで、たしかに印象付きますわたしかに。

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確かにこれは長い!
chiyan

ところで、小さい頃から農家のお手伝いはしてたんですか?

yamazaki

いや、してなかったんですよ笑
家の外は川もあるし農作業用の機械も動いてるから危ないって言われて、家の中でずっとゲームしてましたね。
一人っ子だし、いずれは継がなきゃいけないのかな?とは思ってたんですが、
高校進学の時にはやはり迷いましたね。

chiyan

普通高校に進んで、普通の高校生をやりたかった?

yamazaki

そうそう、田舎を出たいって思いも少なからずあったし。
進路説明会の時にそのことを相談したんですよ。
そしたら「農業をやるからって趣味を捨てるわけじゃない。農業をしながら好きなことはできる」
って言われたんです。それを聞いたら、あぁ悩まなくてもいいかって思えたんです。

chiyan

それで農業高校に?

yamazaki

そう、うちのしっかりした土台のできている農業やってもいいかなって。
それに農業高校に入って勉強していくうちに、農業って悪くないじゃん!
って考え方も少し変わってきたんです。

chiyan

農業ってなんだか大変そうなイメージもあるんですが…?

yamazaki

自分の裁量でどうにでもなる仕事だと感じます。
確かにやることはたくさんあるけど、何時までに何をしなきゃいけないっていう
ギリギリのスケジュールじゃなくて、自分で見切りをつけて終わらせることもできるので、
時間の使い方次第でいかようにもできる。
あとは直売所もやっているので、お客さんと交流したり反応をすぐ見れるのはいいですね。

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農業高校時代は短髪だった(左)と直売所で何が売れているのかアルバイトさんと談笑中(右)

作業負担を減らし良いものを作る「塩トマト」の誕生

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chiyan

大学ではどんな勉強してたんですか?

yamazaki

短大卒業後に入った農業大学校の2年間は、半分は農家の現場に入って研修して、半分は学科の勉強というカリキュラムだったんです。
だから半分は実家に帰ってきて、家の畑を手伝ってました笑

chiyan

それは効率的…!
畑仕事だけじゃなくて、農業経営もこの期間に勉強されてたんですか?

yamazaki

そうですね。
この山﨑農園の売上がどうなっているのか、何が一番売れてるのかという分析と調査は1年目にやりましたね。
あとは、どうやったら効率化できるのかを考えてました。
昔は人手があったからできたことが、今はうちで作業できる人も少なくなって同じようにはできない。
だけどやり方は変えてないから、人的ミスも出てしまう。そういう改善も研究の一つでした。

chiyan

めっちゃ真面目じゃないですか。で、どうなったんです??

yamazaki

あまり大きなお金はかけないで少しずつ現代に即した形にしていこうと思ったんです。
機械化出来る部分はできるだけして、そのついでに作業を楽にしながら高品質なものを作れないかな〜って。

chiyan

機械化で作業を減らして、その上の高品質な商品を作る…すごい話ですね。

yamazaki

でうちの売上を見た時に、トマトが抜きん出ていたんです。
それじゃトマトを使って何かそういうことができないかなって、色んな所に視察に行ったんですね。
特に、上川の農業試験場がトマトの栽培方法を色々とやっていて、しかも作業を楽にしながら高品質なものを作ろうって考え方だったので、ぴったりだったんです。
結果的に、その視察をきっかけに「塩トマト」が生まれたんです。

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トマトを見つめる目が優しい…!
chiyan

「塩トマト」ってどんな商品なんですか?

yamazaki

高糖度トマトの栽培方法で、毎日の水やりの時に水に少しだけ装置で塩を混ぜるんです。
そうすると濃厚で高糖度のトマトができるんです。
低コストでできるので、その栽培方法を知ってすぐに100株作って試験しちゃいました笑
苗からなら3ヶ月もあれば実ができちゃうので試験がしやすいんです。野菜のメリットですね。

chiyan

すごいスピード感ですね!

yamazaki

おかげさまですぐに直売所で販売もできて、今では小さい目玉商品にはなりました笑

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目玉商品の塩トマト(左)と塩トマトの実験中の様子(右)

足元を固めたいのに、手を拡げちゃうお父さん

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chiyan

直売所はいつからやっているんですか?

yamazaki

20年くらい前からですかね。
もともとはコンテナみたいな古い建物で、その日取れた野菜を売ってたんです。
1日何千円とかの売上だったんですが、1,2年続けたら徐々にリピーターが増えていったんです。

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直売所を始めた頃のコンテナ
chiyan

今ではすごいお客さんが来てますよね!

yamazaki

お客さんからの「こんな野菜が欲しい」という要望に応えていったら、ビニールハウスも増えて、
野菜の種類も4,5種類から40種類にまで増えて。
気がつけば市場に出荷するよりも直売所の売上の方が高くなってましたね笑

chiyan

今後こうしていきたいという何か思いはありますか?

yamazaki

きちんと足元を固めて、自分がちゃんと手の届く範囲の規模で農業をやりたいですね。
本当は新しいことに興味がある性格だから、学生時代は加工品を作ったり、直売所にレストランも併設したり…という夢はあったんです。
でも、いざきちんと農業と向き合ってみると、基本がしっかりできてないとその先の新しいことなんてできないというのを痛感していて。

chiyan

そうですよね、それに新しいことをするには人手も必要ですしね。

yamazaki

そうなんです。今は人手も足りていないし。
だから横に広げすぎずに、足元を固めたいと思っているのに…

いかんせん父さんが勝手にやっちゃうんです…

chiyan

!!!

yamazaki

ドレッシング作り始めたり、焼肉用の肉を販売しだしたり…
俺がやりたいけど頑張って抑えていることを父さんが勝手にやっちゃって、
今はその受け皿になるのに手一杯なんですよ笑

だから自分が好き放題できるようになるのはまだ先の話かな笑

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お父さんが加工や販売をしているドレッシングと肉

物腰が柔らかく、優しい話し方をする山﨑さん。機械化して効率を上げ、負担を減らしたいと語るその背景には、好奇心旺盛のお父さんと明るいお母さんとともに、農家を長く続けていきたいという山﨑さんの強い思いを感じる。
代替わりしたての今はまだ、野望の種を蒔いている状態なのかもしれない。
もしかすると野菜のようにあっという間に実りの時期になり、お父さんのように次々と新しいことを始めるのかもしれない。
そんなことを考えながら、たくさんいただいた山﨑農園の野菜をおいしく食すのだった。

山崎さんと出会うには?
山崎農園直売所
北海道釧路市阿寒町上阿寒23線39-5
0154-66-3345
9:00~16:00 / 無休 ※営業時期は6月〜11月頃

山﨑さんに会える!『ひとめぐりTOUR vol.4』
普段クスろ人のインタビュー記事をご覧の皆様の中には、そんな素敵なクスろ人の方々に実際に会って話してみたいな〜と思った方もいらっしゃるのでは?
そんな方々へ向けて、クスろ人に実際に会いに行ける「ひと」めぐりTOURという1泊2日の旅を開催しています。
山﨑さんと一緒に収穫体験をする予定です!
ご興味のある方、下記URLで詳細をご確認の上、専用フォームからお申し込みください。
http://kusuro.com/tour_04/

ちーやんの編集後記
chiyan白菜とキャベツを収穫するお手伝いをさせていただきました!白菜は1玉2.5キロ。それを両手で持って積み込む積み込む。汗だくになりながらも、野菜のはしっこをつまみ食い。みずみずしくて乾いた体に染みました…
そして食べました塩トマト!
甘くてジューシー!これはわざわざ買いに行っちゃうな〜