「ひと」めぐり

家族と暮らす地元の牛乳で地域貢献したい!男前なソフトクリーム屋さん

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舘石吉貴

釧路市出身 標茶町在住

1977年生まれ。高校時代はアイスホッケーに打ち込むスポーツマン。
その後はトラックの運転手や飲食店経営者などを経て、 奥様の家業である標茶町「北川牧場」の家族経営に加わる。そして平成24年の夏、乳製品の移動販売を中心とする「ミルキークラウン」を開業。釧路市には自社工場を持つ。
気は優しくて力持ちな兄貴分体質。男らしい風貌だが、かなりの甘党であり、ソフトクリームをこよなく愛す。

標茶町は人口8千人、国内の町村では6番目に広い面積をもつ酪農がさかんなまち。
舘石さんが暮らす雷別地区は、山々を有する広大な景観とは裏腹に「ご近所さんはみんな親戚」という小さなコミュニティ。
山地での酪農は想像以上に大変とのことで、山の傾斜で牧草栽培をするため、トラクターで刈上げる時は技術と度胸が必要らしい。
原料となる牛乳の生産舎、ここ「北川牧場」から牛さんたちの鳴き声とともにお話を伺った。

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移動しながら大好きなソフトクリームを売ろう

道東で初めてソフトクリームの移動販売を始めたミルキークラウン(以下、ミルキー)。
朝しぼりたての生乳で作ったソフトクリームをイベント会場や市内の店舗駐車場で提供している。
そのほかに外出が難しい方のためにと福祉施設などにも出向いている。
釧路市内ではその移動販売車をよく見ることから、創業がまだ2年と少しだということに驚く。

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移動販売車(左)と自慢のソフトクリーム(右)

ー まず、どうしてソフトクリームなんですか?

俺、ソフトクリーム大好きなんだよね笑。
もともとトラックの運転手をしていた時に北海道内各地のソフトクリームを道の駅で必ず食べていたんだよ。
それで、ソフトクリーム好きだから俺に作らせたら一番おいしいソフトを作れるんじゃないかって考えたの。

ー なるほど笑。 失礼ですが舘石さんの風貌から甘いものが結びつかないなあと思っていました。

そうでしょ笑。けど、ソフトクリームって好きな人がかなり多いものでしょ?
そういうものは周りに応援してもらえると思ったんだよね。

ー 店舗を持つ考えはなかったのですか?どうして移動販売を?

最初は店舗販売を考えていたんだよ。
コンビニの横でプレハブ小屋を建ててみようかとか、ログハウスにしようかとか考えてたんだけどね。
その中で、相談したある知り合いに「店舗販売するより場所に経費がかからないし、なにより移動販売の方が人の集まるところに自ら行けるしいいよ!」と勧められて、移動販売をすることを決めたんだ。
だけど今度は販売車でソフトクリーム販売は前例が無いことからなかなかすぐには実現できなかった。
販売車が納車されて準備万端状態になってからも2~3ヶ月かかってしまったんだよね。

ー 今後も移動販売に力を入れていくのですか?

冬の間は移動販売をしても多くのお客様が見込めないので、訪問販売を増やしていこうと考えているよ。

ー 今はどういう場所に訪問販売をしているんですか?

福祉施設へや釧路管内の各家庭一軒一軒にも訪問販売をしているよ。
介護施設の高齢者の方などの自由には外出やお買い物が出来ない方達にも絞り立てのソフトクリームを楽しんでもらいたいと思っていたので。(特別価格にて販売)

ー 売る場所は限定していないんですね?

そうだね。今は、初音ミク※1の生みの親としても有名な札幌の「クリプトン」さんからの「日本一のソフトを作れないか?」との依頼を受けたのがきっかけで、昨年秋札幌にオープンした「ミライストカフェ」でもソフトクリームを提供しているよ。
そこでは幻のブラウンスイス※2という種類の牛の乳を使ったソフトクリームを試行錯誤して開発したんだ。

※1クリプトン…クリプトン・フューチャー・メディア株式会社。音楽、効果音など音に関する製品を販売する企業。
 「初音ミク」は商品のパッケージイラストとして登場した同社のキャラクターで、国内外からのファンがいるほどの人気
※2 ブラウンスイス…乳質は非常に良いが、一頭からの乳量が少ないためからその価値は希少。クセがなく、濃厚なのに広がりのいいあっさりさが特徴。

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まっすぐに目を見て話をしてくれる舘石さん
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幻のブラウンスイス
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ミルキーのソフトクリームを販売しているミライストカフェ

生まれた土地で楽しさをつくりたい

舘石さんは目を見て真剣に話を聞いてくれる。そして気さくに自分の話もしてくれる。
その会話はとても心地よく、不思議な居心地の良さに包まれている。
その心地よさの裏には、舘石さんが自身に抱えていたコンプレックスやこれまでの経験が大きく関わっていた。
標茶町の酪農家さんたちとの親交も深い舘石さん。
酪農業に就くまでの経緯と、今感じているこの地域への思いを聞いた。

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毎朝、牛の世話から一日が始まる(左)と試行錯誤を繰り返す商品開発室(右)

ー 酪農業に就く前まではどんな仕事をされていたんですか?

飲食店を経営していたよ。だけど夜は遅いし、お酒も飲む仕事で子どもとの時間がなかなか取れなくて。
実家の牧場なら人手不足だし、日中働けるし、何より子どもとの時間が出来るのでそうして欲しいと奥さんに言われてしまってね。
それを聞いて俺は、奥さんが一番子育てしやすい環境を作りたいと思ったんだ。
そして2年間かけて、牧場の仕事をしながらも少しずつ飲食店の経営は人に任せながら離れていったんだよね。
標茶の知り合いからもそうした方がいいとアドバイスをもらって。で、全部離れた時にミルキーを開業したんだ。

ー 奥様からのお願いでですか。素敵なご夫婦ですね。
舘石さんは標茶にも釧路にもたくさんお友達やお知り合いがいらっしゃるんですね!

昔からではなくてね。
俺ってめんどくさがり屋の人見知りで、人とコミュニケーションをとるのが苦手だったんだ。
けどそれは商売をやっていく上で絶対不利になると思って直さなくちゃといつも感じていた。
だから、長年かけて色んな人と話して関わって克服してきたつもり。
それで、今では一番苦手だったことが一番得意な事になったような気がする。自分の短所は努力で長所になるんだなと思った。

ー 地方で新しい産業を生み出していくのは大変だと思いますが、この地域でやる意味をどう感じていますか?

逆にせっかく釧路に生まれたのにどうしてここでやらないのか、と思うんだ。
都会では北海道ブランドがとても人気なんだから、売り出していかないともったいないと思う。
ここは酪農、農業、漁業などに恵まれている土地でしょ?
生まれた土地で楽しさを作っていくのは、俺を含めて地元の企業がやっていくものだと思ってるよ。都会にはなくて釧路にはある楽しい事や良い事はたくさんあるので、それを見つけて発信していきたい。
俺は今、自分なりに、地元の牛乳を使用したソフトクリームを通してそれをやっていっているつもりだよ。

家族あってこそ

舘石さんの娘さんへの愛情はとても微笑ましい。そして奥様との空間も和やかで仲むつまじい。
同じ牧場の敷地内で暮らす義理のご両親家族とも非常に仲良く暮らしているのが印象的だ。

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奥さんと仲睦まじい様子(左)とおいしそうにクレープを食べる愛娘(右)

ー 舘石さんのパワーの源はなんですか?

家族だね。自分が今までやっていけているのはやはり家族のためだ、本当に。
実は創業してすぐ死ぬか生きるかの病気をしたんだよね。6時間半の大手術で、膵臓の3分の1、その他の臓器も取ってしまって。
さらに大腸のポリープも見つかったんだよね。
それは人の大切さを気付いたきっかけだった。家族や周りの友人達、俺を支えてくれている人たちがいかに大切なのかを病床で考えたよ。

ー それはとても大変でしたね。病気を支えた奥様は20年代の女性のなかでもしっかりしている印象がありますよね。

創業時は病気で俺が不在だったんでそうなってしまったんだろうね。
いつも代表の俺と行動をしているからしっかりしてるっていうのもあるかもね。感謝してるよ。

取材にいった牧場では、お義母さんが搾乳を、お義父さんがクレーン操縦を、お義兄さんが牛の世話をしていた。
お義母さんに、舘石さんはどんなお婿さんですか?と問うと、「私たちには無い発想で物事を考えてくれる。まさかうちの牧場の牛乳がアイスになってみんなに食べてもらえるなんて思ってもみなかった。」と話してくれた。
舘石さんのユニークで新しい発想が、標茶町と釧路の美味しい牛乳を広げていく。
これからも男らしく家族を愛し、ソフトクリームを愛し、周りの人に感謝しながら、移動販売を中心に「朝絞り立てのソフトクリーム」を通して地元の魅力を発信していくのだろう。

舘石さんと出会うには?
ミルキークラウン事務所:釧路市新富士5丁目1−7
電話:0154-53-7788
問合せ用携帯:090-6446-8668
メール:milkycrown8@gmall.com
HP:http://www.milkycrown.com/

ぼりの編集後記
boriいただきました!ミルキーさんのソフトクリーム。
さっぱりして甘すぎず、なにより新鮮な牛乳のミルキーさ、そして笑顔の女性店員さんが売り。サンデーやクレープもあるのか…。もうひとつ下さい!とついつい言いたくなる飽きのこない味。
冬の間は訪問販売が主のようですが、皆さんも舘石さんご自慢のソフトをぜひお試しくださいね!
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