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藤原栄一郎

東京都出身 鶴居村在住

1974年生まれ。鶴居どさんこ牧場勤務。
東京で生まれ育ち、中学生の時に参加したカウボーイスクールで「自然」と「馬」に魅了される。
24歳の時に雑誌で見つけたどさんこ牧場の求人に応募し、鶴居村に移住。
現在はホーストレッキングのガイドや馬の調教を担当。
奥様と二人のお子さん、馬9頭、ポニー、ヤギ、犬に囲まれ賑やかな毎日を送っている。
この記事を書いた人
chiyan

クスろ副代表ちーやん。クスろのWEBやデザインを担当。
2016年夏に釧路にUターン。
急激に冬になるこの感じ、まだ雪降らないで…とそわそわするこの気持ち。
釧路に帰ってきて思い出したことの一つです。

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日本の在来馬である「道産馬(どさんこ)」。
強い足腰と持久力、そして温厚な性格からホーストレッキングで活躍する馬だ。
その道産馬に惚れ込み、18年前に東京から釧路の隣町 鶴居村に移住した人がいると聞き、会いに行った。
秋晴れの空に澄んだ空気、山に囲まれた牧草地が続き、馬やヤギがのんびり草を食べている。
そんなのどかな風景の一角に、動物たちを世話する藤原さんの姿があった。

人生のターニングポイント「カウボーイスクール」

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chiyan

こんにちは!
この草原の中にヤギと馬と犬がいるってめちゃくちゃいいです!

fujiwara

動物たちかわいいよね~

chiyan

自然の中で暮らすって感じがぴったりきますね。
自然は昔から好きだったんですか?

fujiwara

中学2年の夏休みの時に、友達に誘われて「カウボーイスクール」に参加したんだ。
富士山の麓の牧場で自然と馬と触れ合って、その時になんかいいな~って思ったんだよね

chiyan

カウボーイスクールですか?

fujiwara

馬に乗ったり、キャンプしたりレクレーションしたり。
それを4泊5日とかの日程でやるんだ。
リーダーが大学生、サブリーダーが高校生で、中学生だった僕には彼らがすごく格好良く見えたんだ。

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カウボーイスクールに参加していた頃、写真中央が藤原さん
chiyan

中学生からすると、高校生・大学生ってとても大人に見えますもんね!

fujiwara

それでね、高校1年の夏休みにサブリーダーをやらせてもらって、
あらためて馬と関わる世界ってすごいな~って思ったんだよね。
で、いつかリーダーになるぞ!って意気込んでたんだけど、
バブル崩壊の影響でカウボーイスクールも閉じちゃったんだ。

chiyan

それはなんとまぁ…

fujiwara

でも長い歴史があるカウボーイスクールを継続させたい思いが強かったんだね。
現地の乗馬スタッフが中心となってリーダーやOBOGの有志を集めて、
新しい乗馬施設「ネイティブビレッジ」を立ち上げたんだ。
建物も水道も全部自分たちで整備したんだよ。
そこで、子ども向けの乗馬キャンプを始めることになったんだ。

chiyan

おぉ!復活したんですね!

fujiwara

ちょうど僕が高校卒業くらいのタイミングで「お前リーダーやらないか?」って誘われて、
「やりますやります!」って即答したよね。
実はその時、大学浪人が決まってたんだけど笑

chiyan

念願のリーダーになれるチャンス!そりゃ逃せませんわ!

fujiwara

それで結局、浪人時代から大学時代はずっとそこに入り浸ってたよ。
大学3年くらいの時かな、自分は馬の仕事をしたい、自然の中で馬と一緒に暮らしたいって思いが強くなって
進路を決め始める時には、もうそういう方向でいこうと自分の中では決めてたよ。

chiyan

そのことはみんなに宣言したんですか?

fujiwara

いや、そういうのは内に秘める性格でさ、ギリギリまで誰にも言ってなかったね。
内に秘めるっていうか、まぁただの小心者なんだけどね笑

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リーダーを任されていたネイティブビレッジ

ポニーをもらう!?ヤギが増える!?想定外な北海道の暮らし

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chiyan

北海道にはいつ来たんですか?

fujiwara

自分が進みたい方向性は決まっていたから、「JOHBA(乗馬)ライフ」という雑誌で、
牧場の求人を探していたんだ。
その時ちょうど特集されていたのが「冬の北海道 ドサンコで雪の大地をゆく」だったんだよね。
※現在はUMA(馬) LIFEに名称が変わっている

chiyan

まさにそれが「鶴居どさんこ牧場」だった?

fujiwara

そう。その写真を見てさ、こういう世界があるんだって驚いちゃって。
富士山の麓も寒いとこだったけど、だけどさあ、別世界なんだよ。
これ、馬乗る格好じゃないだろ!ってまず思って笑
でもこの感じすごくいいなーって、そこにいたらどんな風に見えるんだろう?ってすっごい細かいとこまで見て、色々想像しちゃうくらい引き込まれたんだ。

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当時の雑誌がまだ大事にとってあった
chiyan

わ~!まさかそこに求人も…載ってたり…

fujiwara

そのまさか!
巻末にスタッフ募集の欄を見たら、たまたまここの臨時職員の募集が載ってて即応募したよ笑

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どさんこ牧場の求人欄には赤線が…
chiyan

そこで晴れて採用になったわけですね!

fujiwara

そうだね。
最初は臨時職員で採用されたんだけど、周りのサポートもあって数年後には正社員になれたよ。

chiyan

憧れの北海道生活はどうでした?

fujiwara

思ってた以上に日々驚きと嬉しさがあって刺激的だったね。
特に、冬の北海道を知れたっていうのは大きかった。北海道を象徴するシーンは冬だと思うから。

chiyan

冬の北海道ですか!寒くなってくると嫌にはなりませんでした?

fujiwara

寒くなり方が東京とはぜんぜん違って、北海道に来たんだな!って改めて感じて嬉しくなったよ。
冷え込み方や冬になっていく風景は、今でも印象に残ってるよ。

chiyan

そう感じるんですね!新鮮です。他に北海道で印象的だったことってなんでしょう?

fujiwara

そうだ、驚いたことがあってね!
調教の勉強をしてた頃に、家畜商の知り合いから馬を一頭借りたんだ。
調教の練習をさせてほしいって言ってね。

chiyan

ほうほう(馬を借りるってすごいな)

fujiwara

それで返す日に、馬を乗せる家畜車で家まで取りに来てくれたんだけど、そこから

見たことのないポニーが降りてきたんだよね。

chiyan

ポニー!?

fujiwara

「調教してくれたお礼だ!」って。えぇー!?って思ったよ。
こっちは大事な商品(馬)を借りてたわけだし、当時のスキルじゃ調教もうまくいくかわかんなかったのに、お礼!?
しかもポニー!?って笑

chiyan

お礼がポニーって初めて聞きました笑

fujiwara

北海道の人の懐の深さを感じたよ。

chiyan

他にも何かエピソードはありますか?

fujiwara

数年前の話なんだけど、うちにヤギがいるでしょ?
あれは友人のところからメスを2匹もらってきたんだ。

chiyan

(あれ?3匹いなかったっけ…?)

fujiwara

ある日、ヤギの世話をしに言った息子が血相変えて帰ってきて

「お父さん!ヤギが3匹になってる!」って。

お前そんなことあるか!犬か猫でいるんだろって行ってみたら、本当に小さいのがいて笑

chiyan

そ、それはやばい(爆笑)

fujiwara

その瞬間、親の僕らの方がこの状況どう把握したらいいんだ?ってうろたえちゃって笑
あれは衝撃的だったな~

chiyan

妊娠してるのに気づかないで連れてきちゃったんですね笑

fujiwara

なんか太ったな~冬だからかな~って呑気に見てたよ笑
生まれたヤギが心配だったからミルクをあげたりもして、ほんと無事に大きくなってよかったよ。

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北海道に来たばかりの頃

「自立した人間に」藤原さん流の子育て

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chiyan

藤原さんは鶴居でご結婚されたんですよね?

fujiwara

そうそう、僕が鶴居に来た年にかみさんも鶴居の小学校に赴任になって。
初めて会ったのはどさんこ牧場のお客さんとしてだったんだけど、その後もいろんなところで接点があってね。
感性が似てるなって思ったのがきっかけで、今に至る、と笑

chiyan

なんか…ディスティニー!

fujiwara

かみさんのおかげで地域の人とも早く打ち解けられたのかもしれないね。
地域の行事の準備を手伝って仲良くなったり、飲み会に呼んでもらったり。
そうやって周りとの関係を築いていったよ。

chiyan

この環境だったらお子さんたちものびのびと育ってそうですよね!

fujiwara

地域の人に育ててもらってるね。ずるいかもしれないけど笑
地域の人が子どもにああだこうだ言ってくれて、それで子どもたちが自分で考えて動いている姿を見ると、
自分たちだけで子育てするより得るものが多いなぁって感じるよ。

chiyan

なるほど。

fujiwara

あとは、動物たちの世話は子どもが担当してるよ。
動物を飼うことに対して、雨でも晴れでも自分たちの役割があるってことをわかってもらうためにもね。

chiyan

姉弟2人でやってるんですか?

fujiwara

そうそう、姉弟だけでやるとうまくいかないことはあるんだけど、
そこをうまくやりとりして物事を完結させることを経験させてる。
動物と接する意味はこういうところにもあると思うし、
学びの材料を動物たちが与えてくれる環境はすごくいいよね。

chiyan

実体験をもって学べるのってすごくいいですよね。

fujiwara

最低限の社会性とマナーを身に着けて、自分で意思決定のできる自立した人間になって欲しいんだ。
僕はその見守り役。本当に危ない時以外は放っておく。
子どもが自分で考えて進んでいく姿を見守っていきたいんだ。

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自然や動物とともにのびのびと育つお子さんたち

ここでしか楽しめないことを楽しみたい、その思いで乗馬に加え、4年前からは狩猟を始めた。
最近は夏フェスを開催したいと、音楽イベントに出演したり、仲間も一緒に巻き込み始めている。
自然の中で馬と一緒に暮らしたい、ずっと内に秘めていたその夢を実現した藤原さん。
きっと今も新たな夢をたくさん内に秘めているのだろう。

藤原さんと出会うには?
鶴居どさんこ牧場
阿寒郡鶴居村久著呂 71-1
0154-64-2931
9:00-17:00 ※予約優先 / 年中無休
HP:http://dosanko-farm.com/

藤原さんに会える!『ひとめぐりTOUR vol.4』
普段クスろ人のインタビュー記事をご覧の皆様の中には、そんな素敵なクスろ人の方々に実際に会って話してみたいな〜と思った方もいらっしゃるのでは?
そんな方々へ向けて、クスろ人に実際に会いに行ける「ひと」めぐりTOURという1泊2日の旅を開催しています。
藤原さんにはホーストレッキングのガイドをしていただきます!
藤原さんが惹き込まれたどさんこの乗馬、みなさんも体験できる貴重な機会です!
ご興味のある方、下記URLで詳細をご確認の上、専用フォームからお申し込みください。
http://kusuro.com/tour_04/
※申込みは終了しましたが、ご興味のある方はご連絡ください

ちーやんの編集後記
chiyan藤原さんのご自宅でインタビュー!馬とポニーとヤギと犬がお出迎えしてくれました!
広大な土地でのびのびと過ごす動物たち。お花がきれいなガーデンや、家庭菜園のレベルを超えた畑も。帰り際には今年豊作だったというカボチャまでいただきました。
こんな暮らし憧れちゃうな〜